社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
「婚約?」


「マジか?長嶺、社長夫人?」


「仕事は?」



同期の驚いた声が公園に響く。同期に健人との婚約を話せば質問攻めにあう。



「早くないか?付き合いが短いだろ?」


「結婚式、絶対に俺たちも呼べ。」


「っで仕事は?」



興味津々な同期に答えていく。



「仕事は辞める。」


「いいのか?やりたかった仕事だろ?」


「いいの。」


「頑張ってたのに残念だな。」



奥寺を見上げる。



「色々ありがとう。奥寺には相談に乗ってもらったりして……本当にありがとう。」


「残念。俺、結構イイ男だよ?社長より若いし。」


「うん。社長と出逢ってなければ、きっと靡いてたよ。」


「おおお、長嶺、告白か?」



藤村が茶化してくるのにノッてみる。



「そう。同期の中では一番奥寺が好き……あっ………。」


「花菜?」



聞こえてきた低い声の健人に動きが固まる。奥寺の背後から近づいてきていたのに気付いてなかった。



「俺の婚約者に手を出すなよ。」



私の肩を抱き寄せて宣言する健人に騒ぐ同期。昼休みの公園に明るい声が響いた。
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