社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
私は痛む頭を抱え込んだ。隣から聞こえてきた言葉に体の動きが止まる。



「長嶺、俺と付き合うでいいか?」



完璧に思考回路が止まる。



「ははっ、まったく覚えてないみたいだな。昨夜は相当飲んだからな?」


「社長と寝たって事ですか?」


「それは長嶺の想像に任せる。あと、社長じゃない。健人だ。」


「…………。」


「っで、俺と付き合うでいいか?」



私はチラリと社長……いや健人さんを見た。



「付き合う?」


「俺とは嫌か?でも一夜を過ごした仲だしな。」


「でも下着は………。」


「覚えてないんだろ?」



健人さんの言葉は正しい。まったく記憶がないのだ。



「一夜を過ごした俺と付き合えない?」


「………いえ。でも社長………健人さんには釣り合わないような………。」



歯切れの悪い私をクスクスと健人さんが笑っている。



「付き合うでいいって事だな。」


「…………はい。健人さんが不満でなければ。」


「俺はない。長嶺………花菜、宜しく。」



私は健人さんのニヤリとした顔に眉間の皺を寄せた。
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