社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
結局、週末は何だかんだと健人さんと過ごした。


でも手を繋いだり、ソファーでは肩を抱き寄せられたりはしたが、それ以上はない。


キスもしてない。



「実は寝てない?」



私は確信に近い答えだと思っているが……。



『覚えてないんだろ?』



健人さんに言われれば、確かに覚えてない。


酔って記憶がないなんて―――。



『元カレの事を相当引き摺ってるのか?』



私には疑問しかない。



「長嶺さん?」



女子トイレにある洗面台の鏡をじっと見つめていた私は驚きに振り返った。



「大丈夫?鏡なんて見つめて。」


「清水さん、おはようございます。ちょっと考え事を。」


「鏡を見つめて動かないから心配したよ。ほら、仕事の時間だよ。」


「はい。」



私は自分の席に戻れば、周りの人は仕事を始めている。


私も大きく深呼吸して仕事を始めた。
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