社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
「社長、失礼します。」



扉をノックして社長室の扉を開ける。


デスクに座る社長と目が合う。



「進捗会議をお願いします。」


「わかった。長嶺、ちょっと来い。」



私は社長室に入り、デスクに座る社長に近づいていく。


デスクの前に立てば、社長が立ち上がり、私の隣に立った。



「社長、何でしょ………。」



言い終わる前に抱き締められた。突然の出来事に体が固まる。


我に返った私は社長の胸を押し返す。



「ちょっと社長。」


「健人だ。」


「今は仕事中です。」


「少しだけだ。」



社長の体が離れていく。私は会社で社長に抱き締められて鼓動が激しく鳴っている。


鼓動を誤魔化すように社長から視線を逸らす。



「進捗会議です。」


「行こうか。花菜、照れてる?」


「なっ!会社で抱き締めるからです。」


「可愛いな、花菜。」



社長の余裕にムッとし、一人で会議室に向かおうとするが――――。


「一緒に行くぞ。」



結局、社長の思い通りだ。
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