社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
私は入り口に向かって歩き始めれば、健人さんの手が私の指に絡まる。


驚きに健人さんを見上げた。



「嫌みで言ったんですが?」


「ああ、嫉妬だろ?俺は嬉しいけど。」


「嫉妬?違います!」


「はいはい、行くぞ。」



クスリと笑う健人さんに手を引かれ、お洒落な店内に入っていく。


案内された席に向き合って座り、メニューを眺める。



「花菜、何にする?」


「えっと………カルボナーラで。」



健人さんが注文を終えるとポケットから私の携帯を取り出した。



「奥寺か?」


「見たんですか?」


「見えたんだ。俺を無視して携帯する女は初めてだ。」


「すみません、それは謝ります。携帯を返して貰えますか?」


「キスしてくれたら返すよ?」


「…………。」



ニヤニヤとする健人さんから手を引っ込めた。



「健人さんが付き合ってきた女性は大人の女性でしょうから、そういう事も馴れてそうですね。」
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