社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
あんな広い部屋に住んでいる健人さんだが、私の部屋に入ってものんびりと寛いでいる。



「部屋、狭いですよ?」


「そう?俺はのんびりと寛いでいるから。花菜は自分の事をして。」


「お茶でも。」


「いい。何なら手伝う?」



ニヤニヤとする健人さんに大きく横に首を振った。



「いえ。もし暇なら帰っても………。」


「帰らない。俺は花菜を見てるから。」


「なっ!」


「花菜は俺の癒しだから。」



そう話す健人さんに自然と笑みが溢れてしまう。



「では寛いでいて下さいね。」


「はいはい。あっ、泊まる準備も忘れるなよ。」



結局、土日は健人さんのマンションで過ごすのが当たり前になっている。


不満はない。


一緒に過ごす時間は楽しいし、抱き締められる温もりが当たり前のようになっているから。



でも私と健人さんは恋人と言えるのだろうか?



ふとそんな想いが脳裏を横切る。


なぜなら――――


私と健人さんは一緒に過ごしてもキスすらしないから。
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