君と、ゆびきり
☆☆☆

花火は夜の8時から打ち上げ開始になっていた。


時間が過ぎるにつれて、浜辺には浴衣姿の男女が多くみられるようになった。


中には昼は水着、夜には浴衣に着替えている人もいる。


「どうせならあたしたちも浴衣を持ってくればよかったね」


玲子が悔しそうに言う。


玲子は一緒に暮らしているおばあちゃんに色々と教えてもらっているようで、浴衣の着付けもお手の物なのだ。


「ほんとだね」


あたしは同意して、暗くなり始めた空を見上げた。


今日はとても晴れた1日だった。


星空もきっと綺麗な事だろう。


それからしばらくすると花火大会開始のアナウンスが流れた。


砂浜を歩いていた人たちが立ち止まり、シートを広げたりしてその場に腰を下ろしていく。


あたしたちは少し離れた石の階段に座って夜空を見上げていた。


「ねぇ」


花火が打ち上げ始めたと同時に後ろからそう声をかけられて、あたしは振り返った。
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