君と、ゆびきり
「すごいな。まさか千里に渡ってたなんてな」


青はそう言い、頭をかいた。


月明かりで照らされている青の顔は、少しだけ赤らんでいるような気がした。


「あのさ、千里」


再び歩き始めようとしたとき、青に呼び止められた。


いつもと違ったその声色にあたしは一瞬にして緊張してしまう。


「な、なに?」


立ちどまってそう聞きながらも、あたしは青の顔を直視することはできなかった。


「俺……俺さ、千里のことが好きだ」


ほとんど聞こえないような小さな声だった。


それでも、あたしの耳にはちゃんと青の声が聞こえてきていた。


青の言葉を理解するまでに数秒かかったが、気が付けばあたしの体は火がを噴くほどに熱くなっていた。


頭がクラクラする。


「あたしも……」


それは自分の意思とは関係なく発せられた言葉だった。
< 80 / 226 >

この作品をシェア

pagetop