君と、ゆびきり
結果は惨敗。


一緒に組んでくれていた先輩に申し訳なく思って何度も謝ったが、先輩は終始笑顔で「大丈夫だよ。おもしろかったでしょ?」と、言ってくれていた。


たしかに、初めてのバドミントンはとても面白かった。


できたらまたやりたいと思うが、きっと次は誘ってもらえないだろう。


体を気にしなければならない上に下手なのだから、当然だ。


だけど、それでもいいと思っていた。


一回いい夢を見せてもらったから、これからはまたマネージャーの仕事を頑張る。


そう思っていたけれど、先生は違った。


「せっかくだから上手になりたいと思わない?」


次の部活の時にはそう言ってくれたのだ。


「え……?」


あたしはキョトンとして先生を見つめた。


昨日の試合でボロ負けしてしまったのを、先生はみていなかったんだろうかと、疑問になるくらいだった。


だけど先生はとにかく、できる範囲でいいから部活に参加してほしい。


そう考えていたのだ。


少しでも参加することで体力をつけて、みんなと同じように動けるようになること。


あたしの目的も本来はそこにあった。
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