君と、ゆびきり
勉強
中学1年生の一学期。


あたしは自分の部屋で本を広げて読んでいた。


分厚い医学書で、書いてある事の半分以上理解できなかった。


だから机の上には辞書も置かれている。


あたしは小さな文字を必死になって読み進め、大切だ思うカ所には赤ペンを引いて、付箋を付けた。


「大丈夫?」


そんな声が聞こえて来て顔を上げると、目の前にチアキがいた。


「うん、大丈夫だよ」


あたしはホッと息を吐き出して笑顔になる。


集中しすぎて、目が痛い。


「少し休憩すれば?」


「大丈夫だよ。まだ頑張れる」


「それなら、あたしが一緒に勉強してあげるよ」


「チアキが?」


あたしはジッとチアキを見つめる。


そもそもチアキはあたしが作り出した子だ。


一緒に勉強すると言っても、結局はあたしが1人で勉強していることになる。


それでも、1人で机に向かってくる時よりも少しだけ心が軽くなった。
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