イジワル社長は溺愛旦那様!?

「三時からの本社の定例会議が後ろにずれ込んだので、懇親会には直接本社から向かうということでした」
「なるほど了解~ということは、社長は戻ってこないわけね。で、こっちの予定もずれる……っと」


恭子は社長以下の取締役たちの秘書業務を一手に引き受けている。

キーボードを慣れた様子で叩きながら、予定を組み替えているようだった。

基本的にエールマーケティングではクラウドサービスを使ってスケジュールを共有しているのだが、年配の取締役はなかなか確認をしてくれず、恭子に頼りきりである。


「恭子さん、なにか手伝いますか?」
「ううん、大丈夫。すぐ終わる~。これ終わったら一緒にランチに行こうよ。どっか新規開拓したい気分」
「はい」


うなずきながら、夕妃はハッと手袋を預かってくれていたあの【チェーロ】というお店のことを思い出していた。


「恭子さん、グラタンランチなんてどうです? 限定十食で、こないだ食べ損ねちゃったんですけど、リベンジしたくって」
「おお、いいわねぇ。あっつあつのグラタン食べたーい!」


恭子はうんうんとうなずいて、それから「はい更新~!」と、キーボードをターンと叩いて立ち上がった。


「限定十食ならすぐ行かないと! さ、夕妃ちゃん、コートコート!」
「あっ、はいすぐに!」


外出ランチ用のミニバッグに財布とスマホを入れて、夕妃も慌てて立ち上がった。



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