イジワル社長は溺愛旦那様!?

憮然とした基の顔が目に浮かぶ。

不二基という人はとんでもない美男子であり、その振る舞いも堂々としていて、さながら生まれながらの王様のような男なのである。
夕妃も初めて会ったときは、なぜかひれ伏したい気分になったことを思い出す。


(もう、基さん変な勘違いしてるよ……っていうか私の説明が悪かったんだろうけど)


夕妃は「浮気じゃないですから」とため息をついた。


【なんだ、違うのか】
「違います」
【お前から俺にわざわざ相談というから、きっとそうだと思ったんだ。悪かったな】


そして電話の向こうで、【あの湊が浮気はないな、やっぱり。アハハ!】と朗らかな笑い声がした。


「笑い事じゃないですよ……」


だが天真爛漫な御曹司に文句を言っても仕方ない。
夕妃はソファーの上に座りなおして口を開く。


「湊さん、最近疲れてるみたいなんです。湊さん、どうやったらリフレッシュできるかなって考えて、基さんとふたりでおしゃべりとかしたら、元気になるかなって」
【俺と湊でおしゃべり……? いや、どう考えても誰も得しないだろ】
「そうですか?」


名案だと思ったのだが、なぜか基の反応は鈍かった。


【なにが楽しくて、三十過ぎた男同士でふたりきりにならなきゃいけないんだ。はた目から見て辛すぎるし俺だって嫌だ】


(一般女子からしたら、目の保養だと思いますけど……)


そう思ったが、基の言うことも一理あるかもしれない。


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