イジワル社長は溺愛旦那様!?
夕妃の手元を見て、神尾はまじめにその文字を読み、それから少し思案顔になった。
「理由、ねぇ……」
襟足のあたりを手のひらで撫でつけながら、神尾は視線をさまよわせる。
そしてふと思いついたように、夕妃を見つめた。
「車で猫をひいたら、病院に連れて行くでしょう。安全な場所を用意し、重大な疾患があるとわかったら、治るまで看病もする。私はそういう人間です」
(それって……車でひいた重大な疾患がある猫が……私ってこと?)
まさかそういう論法で来るとは思わなかったが、神尾のいうことも一理ある。
【責任ってことですか?】
「そうですよ。あなたが逆の立場だったらどうしますか? 猫を見捨てますか?」
もちろん見捨てるはずがない。
夕妃はプルプルと首を横に振った。
「でしょう。きっとあなたは自分にできる範囲で、猫を助けるはずです」
まるで教師と生徒のように、神尾は終始穏やかな口調で、夕妃を諭していく。