イジワル社長は溺愛旦那様!?

かすかにアルコールの香りがする湊の唇。
ぱっと見た感じなんの乱れもないが、こうやって至近距離で顔を覗き込むと、ほんの少し切れ長の目に潤いがあるのがわかる。


「積極的だな……」
「こういうのきらい?」
「まさか。大好きだよ」


湊はククッと喉を鳴らすように笑い、そしてそのまま夕妃の体をすくうようにして抱き上げると、そのままベッドへと運ぶ。
それなりのシティホテルとはいえ、シングルルームのベッドは、いつもふたりが眠るベッドよりかなり小さい。

けれどその密着感に、また夕妃はドキドキするのだ。


「ネクタイ外して」


ベッドに腰を下ろし、湊が顔を近づける。


「うん」


夕妃はうなずいて、彼の首元に手を伸ばした。

シュルシュルと音がして、ネクタイが外れると、シーツの上にネクタイが落ちる。


「縛られたい? それとも今日は縛ってみたい?」


湊は低い声で囁きながら、そのまま夕妃の首筋に、唇をはわせる。
同時に彼の長い指が薄手のパジャマのボタンを外していく。


「縛っても、縛られても、湊さんの思い通りにされてる感はぬぐえないんだけど……」


ゆっくりと押し倒されながら、のしかかってくる湊を見上げた。


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