恋愛白書
「絵里香かえろうぜ」


絵里香に声をかけたのは
俺ではない。


「蒼(ソウ)くん!」


絵里香の顔がみるみる笑顔になる。


俺はその顔を見て
2人に背を向ける。


「あれ、丈?」


家でも毎日聞いてる声で俺を呼ぶ。
兄ちゃんの声。


「あー、兄ちゃん」


俺は作り笑いをして、向き直る。


「部活終わり?」

「うん」

「俺らも帰るけど、一緒に帰るか?」

「いや、用事あるから」


俺は手を振って更衣室に向かう。


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