Be Girl-翼のゆくえ-
第一章 高校三年の春
高校三年の春。
学校のトイレの中。びしょ濡れの制服を脱いで、体操服に着替えている私。

泣いていた。

誰かに助けて欲しかった 。
どこか逃げ道が欲しかった。
それが無理なら、消えてしまいたかった。

ここを出ると、私はまた私として生きなければならない。
狭くて居心地が悪くて、それでもこの場所しか無い。

そんな毎日だった。

ひととおり泣き終えると、頭の中は妙に冷静になる。

「死んじゃおうかな…」

いつも同じ言葉が漏れる。



「ヤバいってハルカ!コイツ自殺とかしちゃったらどうすんの?」

「大丈夫に決まってんじゃん。死ぬ勇気も無いんだから」

「そうそう。暇そうだから遊んであげてるだけだし」


あの時の3人の声は、一言一句間違いなく鮮明に覚えている。

『私は…死ねない…』

生きるのは辛いけれど、死ぬ勇気はない。
私って…何…?
何のために…?
< 1 / 119 >

この作品をシェア

pagetop