Be Girl-翼のゆくえ-
第五章 売られたカラダ
その日の帰り道。
私達は重い足取りで駅までの道を歩いていた。

ナナミがバイトを休むという電話をバイト先にしたのを除けば、誰も一言も言葉を発していない。

それぞれが何かを考えているのか、ぼんやりとした表情のまま固まっている。

改札に定期券を通し、自分の乗る電車が来るホームにそれぞれ足を進める。

その時突然、ナナミが足を止めた。

「ねぇ」

ナナミのその一言で、私達は180度体を回転させた。

「…私達は何があっても友達だよね?」

突然口を開いたナナミの言葉は重く、私はリンと顔を見合わせた。

「…当たり前じゃん!ナナミは大事な友達だって。ねぇ、ミサキ」

慌てたようにリンが言った。

私はふと、夏休みに行った海の事を思い出していた。

(「今までごめん。ミサキ。ミサキは大事な友達だよ。今日ようやくそれがわかった」)

あの時の、ナナミの言葉が蘇って来る……


私は自分でも驚くほど自然な笑顔になり、ただコクリと深く頷いた。

ナナミのブラウンの瞳は険しい目つきをしていたが、私を見つめるその目が急に優しさを帯びてきた。
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