こいつ、俺の嫁。




テツの言葉を聞いた瞬間、桃子ちゃんは両手で口を押さえた。




2年前。テツが高校に入学した時、後輩の活躍を観に受験生のあたしを連れ出して中学の市中大会を観に行ったことがあった。




でも日時を間違えて男子バレーを観に行く予定が女子バレーを見ることになってしまった。




その時に丁度やっていたのは準決勝だった。
最終セットのマッチポイントで誰よりも綺麗に跳んで力強いスパイクを打った子がいた。




「あの子すごいね!背中に羽生えてるみたいに高く跳んだよ!」


「……あぁ、綺麗でかっこいいな」




普段他人を褒めることがほとんどないテツが一度見ただけでかっこいいと言った。




その子はココア色のショートヘアーの女の子だった。
得点を決めた時のその子の笑顔が心から嬉しそうで、すごく印象に残っていた。




「…今は髪が伸びてすぐには分からなかったけど、桃子ちゃんだったんだね、あの綺麗なフォームで跳んだ子は」




昨日桃子ちゃんと話した時に見せた笑顔があの時の笑顔と重なった。




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