呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。

もう、何も考えられなかった。

ゆるゆると揺れる体が柔らかいベットに降ろされた。
玄関に居た筈なのにとか、
部屋の電気も消えていたりとか、
普通なら疑問に思う事も、絶え間なく続くキスに溺れていて、何も考えられなかった。

ただ、ただ、嬉しかったんだ。







「━━━━━━━━君を抱きたい」



耳許で溢れた台詞は既に決定事項のようで、胸が熱くなった。
じわりと胸に届いて熱が広がる。

愛を、交わしてもらったんだと、
受け止めて貰えたんだと、
そう、思ったんだ。

小さく頷く私の頬に少しのリップ音が鳴る。
それを合図に再び深く沈められた唇と体に添って触れる桜木さんの手。


それからは、されるがままだった。


その時みた桜木さんの表情はきっと、一生忘れない。
あの瞬間、『私が欲しい』って全身で伝えてくれていたんだから。

愛しそうに、優しく、大切に、私に触れてくれた。


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