呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。

会いたくて、寂しくて、泣きたくなった誕生日の次の日の朝、自分の男が他の女と仲良く笑いながら歩いていた。

それだけだ。

腕を組んでいたわけでもなく、寄り添っていたわけでもない。

だけど、何で私は会えないのにその彼女と一緒にいるのか悲しくて堪らなかった。
惨めで、情けなかった。

こんな朝早く、一緒にいる意味も分からなかった。



その日の就業後、1件のメッセージを送る。
『昨日はお花をありがとう。そういえば、何でいつもカラー?』


ちょっとした賭けだった。
その花の意味。
私の夢の結婚式どうこうまで考えてほしかった訳じゃない。
話したことなんて無いんだから知っている筈もない。
だけど、どんな返事が来るのか。


日付が変わった頃にきた雄大からの返信は、
『おめでとう。6月27日の誕生花らしいぞ。花屋が教えてくれた』

『暫く、忙しい。又連絡する』


へぇ。
誕生花だったんだ。
大好きな花だけど、知らなかったな。
ってゆうか、一目惚れした花がカラーで、誕生花って!私たち運命かも。


胸が痛くて、熱くて、溢れる涙を拭くこともなく、そんなことをバカみたいに考えてた。



暫く、なんてバカみたい。
忙しくなかったことなんて無いくせに。


せめて、『ヒロのイメージだよ』なんて言ってくれてたら嬉しかったのに。

って、そんな事言う雄大なんて想像できない。
甘い恋人みたいな戯言も、妄想すら出来ないなんて。


私は雄大の何なんだろう。
何のために一緒にいるんだろう。
━━━・・・


一緒になんて居たことなんて無かったかもしれない。



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