呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。

「誕生日の後、お花のお礼を言ってから連絡してない。朝も会ってない」

「もう一ヶ月以上立つじゃない!」

「………………うん」

「向こうから連絡は?」

「ふふっ。あるわけ無いじゃない」


そうなのだ。
向こうから来るのは基本的に返信のみ。
私からの連絡に応える形が定着して、こうやって連絡が途絶えるのが嫌で意地でも私からラインにメッセージを送っていたんだ。

だから、私が連絡を入れなければこうなることは分かっていた。


「そもそも、私達付き合ってたのかなぁ」

「だから言ったじゃない。あのね、聞きたくないかもしれないけど、立ち位置的にはその扱い、セフレだからね」


菜摘様。
真っ昼間に止めてくださいよ。


口元に手を一本伸ばして、シーっと声を落とす。


「恥ずかしいなぁもう。
…………でも好きって言ってくれたもん」

「言ってヤれるならいくらでも言うわよ」

「もうっ、あけすけに言わないで!」

「ふんっ、セフレにしたって扱い酷すぎだからね。餌をやらないにも程があるわよ」

「何?餌って」

「『釣った魚に餌はやらない』って言うでしょ?魚って央の事だから」


うまいこと言うなぁ。


「的を得すぎて嫌んなるね」


最早苦笑すら出来ない。


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