幼なじみのメランコリー
私は買って来てくれたオレンジジュースに口をつけ、気分を少し落ち着かせた。


水谷くんはコーヒーを飲みながら。


「暇つぶしに聞いていい?」


と訊いてきた。


「告白しないの?」


「……しない」


「そんな顔するくらいだったら言えばいいのに」


「言えないよ」


「傷つくのが怖い?」


「そうじゃない」


私は持っていたオレンジジュースの缶をギュッと握りしめた。


「そうじゃなくて……大地は優しいから…優しいから私が告白したらきっと困って悩んで」


言いながら、涙が溢れそうになるのを私は必死で抑えた。


「私ともう話してくれなくなるかもしれない。笑顔を向けてくれないかもしれない。そしたらもう……そばになんていられない」

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