今夜、きみを迎えに行く。



パラパラと捲って、短い日記を読んでいく。



母親の書いた文字、短い日記に出てくるのは、わたしの名前ばかり。


葵、葵、葵。



どのページを捲っても、わたしの名前が書いてある。


ぱたん、とノートを閉じて、引き出しに元通りしまった。


両親に愛されてないなんて、勝手に思い込んでいた。


わたしより、茜のことを大切に思っているなんて。


母親に心配ばかりかけて、自分のことしか頭になくて。


わたしはなんて、ワガママで馬鹿な娘だったんだろう。


台所を飛び出して、階段をかけ上がる。自分の部屋のベッドに潜り込んで、泣きながら眠った。



夢の中で、シュウが泣いているわたしを見て笑っていた。



「ほらね、ぼくの言った通りになった」



シュウの長い腕が伸びてきて、わたしの頭をそっと撫でる。



「泣かないで、アオイ。課題は今日、始まったばかりだよ」



シュウが微笑む。シュウの課題は一週間。

わたしははやく、シュウに会いたいと思った。










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