こっち向いて、ダーリン。【改訂版】

俺の中の変化

「深瀬くんの女ではない。わたしが一方的に好きなだけ。文句ある?」


──。


とりあえず逢川が去っていった学校の方へと向かっていると、離れた所から小さく耳に入ってきた声。


木や植物で人通りから遮断されている、何の手入れもされていない空き地のような場所。


そこから聞こえた女の声を確認しようと、静かに近づいた。


「──」


マジかよ。


北栄の制服を着たガラの悪い三人組の中に、逢川を見つける。


両腕を二人に捕られ、真正面の奴には髪を鷲掴みにされている。


これほどまでに想像通りの展開になるとは、典型的すぎる男だな、澤田。


「は?話違くね?」

「菊池は深瀬の女って言ってたよな?」

「じゃ、人違いか?」

「いや、菊池から送られてきた写メは確実にこの女だ」


菊池って野郎、写メなんか撮ってやがったのか。あいつ最悪だな。


つーか先に行ったはずのあいつらはどうしたんだ。金沢の野郎、逢川を探しに行ったわけじゃねぇのか?

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