こっち向いて、ダーリン。【改訂版】
逢川咲良の偽装恋愛

心の距離を測るわたし

「深瀬くんっ!お願いっ!」

「…」

「深瀬くんってば!」

「…」

「ね!深瀬くん!」

「…」

「ダー…」

「ちっ」


不機嫌そうに、ダーリンは机の上に置かれた手紙を開く。


「─!やった!」


やっと!やっと念願のダーリンのアドレスと番号をゲットできるっ!


──クラスは数学の授業真っ只中。

なのに心地よい昼下がりのせいか、大半は皆隠れて寝ている。

いや、先生には確実にばれているであろう。


そして周りが居眠りをしている中、これはチャンスだと思い、わたしは珍しく起きているダーリンに『携帯の番号とアドレス教えてちょうだい☆』と可愛く書いた手紙を送り続けた。


のに。


毎度の如く無視しようとするダーリン。


負けじと小声で必死に訴えかけ、ようやく手紙を手にとってくれた。


今!今!ダーリンは乱暴に手紙に書き込んでおります!


これでダーリンとメールができるんだね!嬉しいーっ!

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