こっち向いて、ダーリン。【改訂版】

人質的なわたし

「じゃあ終わったら職員室に持ってこいよ。早くしないと俺、帰ってるからな」

「だったらもっと減らしましょうか!」

「ふざけてる暇があったらさっさと書け」

「先生ってば…」


わたしが言い終わる前に、先生は生徒指導室から出ていってしまった。


なんてこったい。

作文用紙五枚分とか、一体どれくらいかかるんですか。書くことないわ。

反省文の時点ですみませんごめんなさいしか出てこないってのに。


いや、それ以前にわたしそこまで悪いことした?してないよね?

遅刻とかサボりとかたった数回でしょ?深瀬くんなんて遅刻はないにしろ常にサボってる授業があるってのに…。


って文句たれてる場合じゃない!


深瀬くんが待ってるんだから急がなきゃ!


…それにしても、深瀬くんの人気は止まることを知らなかったな。

彼と廊下ですれ違う女子のほとんどが、黄色い声をあげて騒いだり顔を赤らめたり。


ん~、この状況でライバルは出てほしくないなぁ。この距離になれるまで、結構苦労したんだから。


てててていうか!


深瀬くんたらどこまで純情なんだろう!あそこまでの純情加減は希少動物並みでしょ!

わたし、犯罪でも犯してるような気分だったわ!


恋愛初心者の、しかも女のわたしが思うくらいだもの!相当な純情度だよね!


見た目とのギャップありすぎでしょ!硬派のレベルじゃないねあれは!そのギャップが萌えるのかな~!

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