こっち向いて、ダーリン。【改訂版】
「…馬っ鹿じゃねぇの」

「馬鹿でもなんでもいいよ。だけど好きでいさせて。そばにいさせてよ」


──わたしを見つめる、冷酷で、残酷で、酷薄で、非情な目。


それでも。


わたしの恋の相手は深瀬くんと決めたから。

どんなに暴力を振られたって、浮気さえされなければわたしは充分だから。


恋をさせてほしいの。


わたしの見ている世界を、恋の色にさせてほしいの。



「…失せろ」



静かに一言だけ告げた深瀬くんは、また歩き出す。


昨日今日と何度言われたかわからないその言葉。

わたしには効かないとわかっているはずなのに。


「─ダーリンッ!」


わたしは深瀬くんのペットのように、勢い良く後を追いかける。

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