強引部長の独占ジェラシー


「川本、メールのチェック済んでるか?11時から中央雑誌の挨拶と13時にCDの収録控えてる」

「はい、大丈夫です」

「部長、ちょっとよろしいですか?この資料のことなんですが……」


「ああ、そこは昨日俺が作った資料があるからこっちのに差し替えといて」


出社してすぐパソコンの電源を入れると、その向かいではいつも忙しそうな部長の様子が目に入る。

忙しいはずなのにどっしりと構えた口調。それを聞いて安心した気持ちになれるのは私だけではないだろう。


そしてもう一つ、会社の名物(?)とも言うべきか、部長を見て女性陣の甘いため息が聞こえてくるのも、うちの会社ならではだった。


「今日も部長カッコイイ……あのクールな感じたまんないよね」

「ご飯とか誘いた~い」


ひそひそと話す声は逆に耳に届きやすいと聞くけれど、本当にその通りで毎日部長と近付けないかと噂する女子の声は嫌でも耳に入ってくる。


すっきりとした顔立ちに、上等なスーツがよく似合う部長は、どこかの俳優と間違えてもおかしくないくらいの雰囲気を纏っていた。


「それは俺がやっておくからディスクに置いておいてくれ」
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