WHAT COLOR IS LOVE
桃色の君
本当の気持ちを言わない僕を、どうか怒らないで。
じれったそうに見ていないで。
君は僕の、たったひとつの真実の証。
それなのに。
君に伝える言葉は、何もないんだ。
いや本当は、いっぱい、いっぱいあるんだけど。
どうしてなんだろうね。
君に会うと、何も言えなくなってしまうのは。
僕の目の前にいる君は、会えないときの君よりも、だいぶ桃色で。
あぁ、ずっとピンクなんだと思ってたって。
その事ばっかり考えてしまうんだ。
でも、会えない時間が長くて、長くて。
僕の中の君が、ピンクの時間が長くて、長くて。
そうだと思っちゃうこともあるよ。
もしかしたら、そっちが真実なんじゃないかと、思っちゃうこともあるよ。
けれど、君は、本当は桃色。
会うと、桃色。
にこりと笑って、僕を抱きしめるその腕も。
僕に触られる上半身も。僕に委ねる、下半身も。
心の中も、髪の毛の色だって桃色だ。
どうして、忘れたりするんだろう?
どうして忘れちゃうんだろう?
君は、こんなにも真実を教えてくれるのに。
君はとっても純粋なのに。
キスをして、抱きしめて。
僕の中のピンク色の君を、どうか忘れられますように。
会いたい。
君に、もっと、もっと会いたい。
毎日会うだけじゃ、足りないほど。
君の真実を。
ずっと、ずっと見ていたい。
そしてそれは、僕の真実なのだから。
僕の用意した言葉は、いつも、ピンクの君宛。
だから、何にも言葉がなくなってしまうんだよ。
ただ、僕を見つめ続ける君を、どうしようもなく抱きしめることさえできずに。
「アタシに、会いたかった?」
いつも、君が先に沈黙をやぶる。
ああ、そうさ。
君の中の僕は、ねぇ、この僕と同じ僕なのかい?
僕は、返事すら持ち合わせていない。
ごめんね。
格好つけてるわけじゃないんだよ?
「アタシは、会いたかったよ?」
君の言葉は、嘘がなくて。
少なくとも僕には、そんなものは感じられなくて。
こんなにも愛しくて、こんなにも、愛していると思うのに。
僕の中のピンクの君は、僕を騙し続けるんだ。
僕が信じられなかったら、真実なんてあり得ない。
僕の中に、ピンクの君が居る限り…。
< 26 / 52 >

この作品をシェア

pagetop