To a loved one 〜愛しき者へ〜

小田原攻め

ついに豊臣麻衣は、太政大臣にも任命された。

従一位・関白・太政大臣...。

従一位以外は、それぞれの役職の最高峰である。

そして麻衣は、家臣である石田絵梨花に、《従五位下(じゅごいげ)》の官位と、《治部少輔(じぶしょうゆう)》の令外官を与えた。
大谷沙友理には、《従五位下》の官位と、《形部少輔(ぎょうぶしょうゆう)》の令外官を与えた。

これにより、一部の女生徒達からは、役職などで呼ばれる事も増えて来た。

《石田治部(いしだじぶ)》や《大谷刑部(おおたにぎょうぶ)》などである。

━━麻衣は、太政大臣よりは、《関白》の方で呼ばれる事が多い。


「初めまして。」
真田美彩は、頭を下げた。

「初めまして。」
と、本多健(ほんだ・たける)も頭を下げた。
徳川家臣、本多桃子の弟で、なかなかのイケメン。

美彩と同じ高校二年生である。

━━ここは信濃地区小県のファミリーレストラン。

この日から、二人の交際が始まった。
麻衣からの提案で、交際する事になった二人ではあるが、お互いに一目惚れしたらしく、上手くいきそうな予感だ。
そして、真田と徳川に同盟関係が出来た。

━━姉の真田純奈は、少し安心をした。

いくら大名になったとはいえ、規模は小さい。
徳川七瀬や北条飛鳥に攻め込まれたら、一溜りも無い...。
上杉史緒里は、妹の未央奈が上手くやってくれれば、問題ないだろう...。


「宜しくお願いします。」
といって、真田未央奈は頭を下げた。

━━ここは、越後地区春日山女学院である。

「ようこそ、春日山女学院へ。」
と、直江かりんが出迎えてくれた。

「信濃地区上田女子高附属中学から来ました、真田未央奈です。」
と、未央奈は再び頭を下げた。

「春日山女学院二年生の直江かりんです。」
と、かりんが言った。

━━しばらくすると、上杉史緒里もやって来た。

「春日山女学院二年生の上杉史緒里です。」
史緒里も挨拶をしてから、
「リラックスして過ごして下さいね。」
と言った。

「ありがとうございます。」
と、未央奈は言った。

「未央奈さんは、何か得意なものとかあるの?」
と、かりんが訊いた。

「はい、陸上部に所属していて、50m走なら六秒台で走れます。」
と、未央奈は答えた。

「早い!!」
横で聴いていた史緒里は驚いて、
「他には?」
と訊いた。

「あとは、《高速まばたき》です。」
と、未央奈は言った。

「高速...まばたき...?」
史緒里は首を傾げた。

「はい。」
と言って未央奈は二人に、高速でまばたきをして見せた。

「......。」
「......。」
リアクションに困る二人であった...。


そして、ついに北条飛鳥を攻める時が来た!!

麻衣は、石田絵梨花を総大将にして、武蔵地区の飛鳥の支配下にある学校を攻めさせた。

麻衣は、絵梨花に手柄を立てさせたかった。
絵梨花をサポートする形で、大谷沙友理、真田純奈、上杉史緒里、直江かりんも、絵梨花の軍に加えた。

中学生の未央奈も、一応、研究生という形で参加させた。

絵梨花達が相模に向かう前日、絵梨花、沙友理、純奈、史緒里、かりん、未央奈の六人で、《作戦会議》と題して食べ放題の焼肉屋に行ったのだが...。

絵梨花、沙友理、かりん、未央奈の四人が大食いキャラで、史緒里と純奈がドン引きするくらい食べたのだ。

━━大食いキャラ同士、なにか通ずるモノがあったのか、この四人の結束は堅くなった...。

麻衣は絵梨花達の軍も含め、総勢二十一万人もの女子高生を動員して、北条を攻めた。

《難攻不落》と言われている、小田原女子高も、さすがに相手が悪い。

飛鳥も観念したが、神奈川県民としてのプライドが、討ち取られる事を恥だと思い自害した。

北条飛鳥、高校二年生。
誇り高き美少女の最期である...。

麻衣は、飛鳥を討ち取りたかった訳ではない。
協力して欲しかったのだ。
現に、九州攻めを行った際も、島津怜奈を討ち取ってはいない。

しかし飛鳥は、降伏も恥だと思った。

━━きっと時代が時代なら、
《従うとは負ける事》
と言い聞かせて、夜の校舎を窓ガラス壊して回るぐらい、従う事を嫌っていた...。

そして麻衣は、天下を統一した...。
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