守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~
「俺はお前が好きだ。昔も、今も」

「……えっ……」


言葉が出ない。
頭が真っ白になって、拓海先輩との思い出が少しずつ頭に広がっていく。

初めて話した日。
告白をされた日。
初めてデートした日。
手を繋いだ日。
初めてキスした日。

不思議と頭に浮かぶのは楽しい思い出ばかり。

あんなに傷ついたのに、何でこんないいことばかり思い出すのだろう。


「花蓮、信じろ。俺は……お前が好きだ」


真っ直ぐな言葉を信じたい、そう思っている自分がいる。
彼の背中に腕を回せばもう1度やり直せるだろう。

すれ違っていた時間が、彼となら埋められる。
2人でもう1度、楽しい思い出を作れると思う。

だけど……。
やっぱり……。


「信じられないよ……」

「今はそれでもいい。一緒にいればいつか分かってくれる。だから……」


少し強引な拓海先輩。
このまま居たら流されてしまう。
そんな自分が嫌なのに、ここから逃げ出すことも出来ないんだ……。
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