守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~
「……私……」


自分が何を言いたいのか、何を伝えたらいいのか分からない。

私が罪悪感を持たないように、こんな形で振る舞ってくれるチーフ。
その優しさが胸に沁みて苦しい。

だからこそ、伝えなければいけない。


「チーフに会えて良かったです。
貴方の優しさが私を変えてくれたから。
だから……好きになってくれてありがとうございます」

「っ……」


勢いよく頭を下げれば、くぐもったチーフの声が聞こえてくる。
でもすぐ後にいつも通りの声が聞こえてきた。


「だーから、嘘だって言ってんだろ?
分かったら……さっさと行けよ。アイツの所に」

「……はい」

「……海咲!」

「え……」


急に呼ばれた名前。
驚いていれば急に腕を掴まれて引き寄せされる。
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