守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~
「付き合ってる人はいないです」

「そ、そうなんですか!! あ、でも……」


一瞬で声が弾んだのが分かった。
でもすぐに自信を無くした様に下がっていく。


「山瀬さん?」

「好きな人とかは……?」


その言葉にある人が頭に浮かぶ。

大嫌いなのに忘れられない人。
忘れられない最悪な思い出をくれた人だ。


「……いません……好きな人なんか……」


あんな人、好きじゃない。
心ではそう思っているのに、思い出すと泣きたくなる衝動に駆られる。


「ミサキさ……」

「……着きましたね」

「え?」

「コンビニ」


俯いていた顔を勢いよく上げて無理やり笑顔を作った。
< 43 / 297 >

この作品をシェア

pagetop