ブラック・ストロベリー


「 そんな事言われても別にわたしは好きじゃないし 」

「 そーゆー問題じゃねえの。わかんねーの? 」

「 なんでそんな怒んの?嫉妬しないんでしょ? 」


じっと見つめて、そう言い切れば、図星当てられたようにアオイは大人しくなった。

嫉妬したって、素直にいえばいいのに、怒るだけで、何にも言わない。


「 ちゃんと、言葉にしてよ 」


思えば付き合い始めにもそんなことを言った気がする。
素直じゃないことはもう十分わかってるから、そんなに言わないようにしてたけど、たまには私だって言葉で表現してもらいたい。

アオイにはうたがある、けどそのうたはみんなに聴かせるものだから、わたしだけにくれる言葉がほしい。



「 うたにばっかして、たくさんの人に聴かせて、わたしだけに向けられることばはないの?その程度ってことじゃないの? 」


アオイの目がわたしから逸れないように、じっとみつめた。

アオイが苦しいなら、わたしだって苦しい。



「 言葉にしてくれる人は、ちゃんとわたしだけにまっすぐ伝えてくれるし、素直に自分のこと言ってくれるよね。そーゆー人の方が、 」


最後まで言わせてくれないのは、アオイの悪い癖だ。


無理矢理ひっぱられて、壁に押し付けられたと思ったら、感情任せのキスが唇に噛み付いてきた。


「 行動、する前、に、言って、よ! 」

呼吸が苦しくなるくらい、好きなんだってわかってる。
アオイがわたしのこと大好きなことだって、もちろんわかってる。


人のこと言えないくらい私は言葉にするのが苦手だけど、それでも本当に、アオイが好きだから言葉を聴きたい。


「 嫉妬だよ!分かってるくせに聞いてくんじゃねえよ! 」

こんなに至近距離で目が合って、こんな近くでアオイの怒ってる顔を見れるのは、こんなに怒りをぶつけられるのは、どうしようもないこの男を、すきになってしまった私の特権だとおもう。
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