俺様社長の溺愛宣言
袋に氷水を入れ、ぎゅっと袋を閉め、ハンカチを間にかましてそれをおでこに当てる。

「…どうしよう。大事な頭なのに。お仕事に支障が出ませんかね?」

満里奈のあまりの心配ように、流石に零士は声をあげて笑い出してしまった。

「何が可笑しいんですか?御崎社長はうちのトップ何ですから心配もしますよ」

「…大袈裟なんだよ、大したことないのに」

…ビクッ。

袋を押さえる満里奈の手の上に、零士の手が重なり、満里奈はビクッとした。

そういえば、どうして今、零士がここにいるのか?

今更ながら考える。

「…御崎社長、どうしてここへ?」
「…満里奈が俺の傍にいると言ったから」

「…あの、お仕事は?」
「…日曜日だが?」

「…ですよね…あ、押さえててください。コーヒー淹れます」
「…いや、離すわけないだろ?離したら逃げるだろ?」

ズバリ言われ、満里奈はバツの悪そうな顔つき。

「…む、無理ですよ、ここは私のアパートです。逃げ場なんて他にはないですよ、ね?コーヒーを淹れるだけですから」

懇願するような目に、零士は溜め息をつき、手を離した。

満里奈それに安堵し、ぱっと手を離すと、コーヒーを淹れに行く。

「…どうぞ。ブラックでいいですか?それとも、ミルクや砂糖いりますか?」

「…ミルクと砂糖一つずつ」
「…甘党なんですね、意外」

そう言ってクスッと笑う満里奈に。

「…悪いか?」

と、凄まれ、満里奈は慌てる。

「…そ、そんな、滅相もない。私も甘党なんで」
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