俺様社長の溺愛宣言
…このまま押し倒して、全て自分のモノにしようと思えば出来たかもしれない。

でも、それはしなかった。しようとも思わなかった。

さっき、満里奈に言った言葉が本心だ。

満里奈に出会うまでの俺なら、こんなことはしなかっただろう。

誰かを本気で好きになったことなど、一度もない。

1人の女性を愛すると、ひとはこうも変われるのかと思うと驚きしかない。

だが、こうやって人を、満里奈を本気で愛して、人を大事にしたいと思えて幸せだと感じられる今の自分が好きになれた。

人を愛せない自分がずっと嫌いだったから。

「…御崎社長」
「…ん?」

「…こんな私を好きになってくれてありがとうございます」

思いがけない言葉に、胸がキュンとした。

「…こんな私なんて言わせない。俺は満里奈だから好きになったんだから」

そっと抱き締めれば、…!!

満里奈も俺を抱き締め返してくれた。

男が苦手だと言ってた満里奈が今俺に迷いもなく触れてくれることがこんなにも嬉しい。

…その夜、少し離れがたそうな満里奈の頬にキスをして、自宅に戻った。

家に着き、シャワーを浴びた俺は、ソファーに座る。

…ふと、携帯が光っていることに気づいた俺は、それを取り、ひらいてみた。

『さっきまで一緒にいたのに、もう会いたくなってしまったのは何故でしょうか?』

満里奈からのメールに思わず笑みを浮かべた。

『俺も同じ気持ちだから』

そう返せば、


『ごめんなさい…私って変ですよね…おやすみなさい』


おかしくなんてないのに。そんな事を思いながら、おやすみとだけ返した。
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