俺様社長の溺愛宣言
要件を済ませた俺は、社長室に戻るため、エレベーターに向かっていると、外に通じる非常扉が少しだけ開いていた。

気になった俺は、扉から外を覗く。…と。

そこでしゃがみこむ満里奈が目に入った。

「…怖かった」

…ぇ。

怖かった?

俺は、自分の耳を疑った。

「…がらにないことするんじゃないな」

そう呟いているのは、満里奈。

「…もぅ、今頃震えてくるとか、最悪」

…よくよく見れば、確かに満里奈の足も手も、震えていて、目からは、大粒の涙が落ちている。


「…頑張れ、私」

涙を拭うと、両頬を叩いて、気合いをいれた満里奈がこちらに来ようとした。

俺は、早足でその場を去った。

…それから何度か、怖いと言って泣いてたくせに、やっぱり、真正面から、正論をぶつける満里奈を見ているうちに、自分の言い様のない感情に気づいた。

…気になる

…もっと近くにいきたい

…話をしたい。

満里奈は本当はどんな人間なのか知りたくて知りたくて、仕方なくなった。

そうしておこしたこの行動。

話なんてする間もなく、触れたくて仕方なくなって、満里奈を羽交い締めにして、強引に唇を奪った。






…バッチン!!!







触れたのはほんの数秒で、次の瞬間には、満里奈におもいっきり頬を叩かれていた。
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