鐘守りの少女と夢見る王子

「なんで……」


「?」


「なんで、鐘を鳴らしてるんだ? お前は死ぬかもしれないのに」


エリアルははっとした表情を見せたあと、胸に手を当てて視線を落とす。


「わかってるんだろ? あの鐘に命を削られているって」


マクベスの言葉に、エリアルはひとつ息をついてから口を開いた。


「いいんです、わたしは……」


そして顔をあげる。


「皆のために鐘が鳴らせるのなら。わたしの力で、皆を、家族を幸せにできるなら」


意志の灯った強い眼差しにマクベスは少し怯んだが、すぐに言い返す。


「家族? 家族のためにやっているのか?」


こんな命がけのことを。


「お前は親に売られてきたくせに」


「……!」


なかなか言い返してこないエリアルの顔を見ると、彼女の瞳が潤んでいるのに気づいた。

はっとして言葉を探したが、マクベスが何か言うよりも先にエリアルが口を開いた。


< 14 / 32 >

この作品をシェア

pagetop