大嫌いな兄とその仲間達
あれ…?

ここどこ?

目が覚めると見なれない場所。

ん…?

もしやまた拉致られた?

確か、学校に行こうとして歩いてて…。

『あっ。クルマで拉致られたんだっ!』

「やっと気がついたか?お前も不運だなぁ。あの兄貴のせいで何回誘拐された?」

『あんたも何回目よ?いい加減自力で何とかしなさいよ。誘拐犯の中で一番会ってる気がするわ。』

目の前の金髪ピアスじゃらじゃら男を睨み付ける私。

コイツは北のトップ。

うちの兄が東のトップで、それ以前からもヤンチャしてて、かなり恨まれてるんだよね。

あとは当然、南と西もいるけど、全部に拉致られ済みな私は、誰とも初めましてにはならない。

「なぁ、萌琉(める)?そろそろオレのにならない?オレ、お前好きだし、兄貴の悔しがる顔も見たいと思わねぇ?」

ソファーの隣に座ってきた。

『イヤ。唯(ゆい)みたいなヤツキライ。』

ちなみに唯っていうのは、うちのバカ兄貴ね。

神城唯(しんじょうゆい)高校三年ね。

「いや、アイツと一緒にすんなよ。」

『不良はみんな一緒!私のタイプは誠実で優しくて一途な頼りがいのある人。私の周りは誰もあてはまらない!それにあんたも兄貴を恨んでるから、私の存在はついででしょ。』

みんなそうだからね。

利用価値があるのは、唯の妹って立場の私。

誰も神城萌琉なんて、存在は気にもとめてない。

なんで唯の妹なんだろう。

何度思ったかわからない。
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