千日紅の咲く庭で
岳がサッカーをしているところを見るのは、中学生以来かもしれない。

あんなに背も伸びて、昔の面影なんてないと思っていたけれど、汗を流しながらボールを追いかける岳の姿はやっぱり私の知っている子供の頃の岳のままだ。

私はそんなキラキラしている岳の姿をずっと目で追い続けた。


この間まで怪我をこじらせているなんて言っていたのはなんだったのだろうと思うほど、器用にドリブルで相手選手を抜いていく岳。

シュートが入ると、岳は私の方を向いて整った顔立ちを崩して笑って見せた。

思わず視線がかち合って笑ったけど、今までずっと目で追っていたことがなんだか照れ臭くなってふいに視線をそらしてしまった。

< 140 / 281 >

この作品をシェア

pagetop