千日紅の咲く庭で
本来ならお祝されるのは東谷くんで、私は年上の先輩っていう立場だから、奢るっていうのは出来なくても、せめて割り勘ってくらい考えていたのに。

東谷君はスマートにいつの間にか会計を済ませていて、後輩に奢ってもらったような形になってしまった。


さらには、今日もまた、こうやって我が家まで送ってもらっているのだから、なんだか最初から最後まで東谷君には申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまっていた。



本当はこれまでだって、もう何度も東谷くんからの食事やデートのお誘いはあったのだ。
だけどずっと、誘いに気が付かない振りしたり、うまくかわしてみたりしていたのだ。

本当は答えを出すことから逃げていただけだったんだけど。



まさかその間に、岳を好きだって気付くなんて思ってもみなかったのだけど。


でも、岳に好きな人がいるって分かったし、私の岳に対する気持ちは胸に秘めておこうって決めたんだ。


私だって新しい恋愛をしなきゃいけない。
そうしないと、いつまでたっても岳から離れられそうにはないから。


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