花よ、気高く咲き誇れ



「確かに、ああいう繊細タイプを好きになるなんて自分でも意外だわ。でも、あんたよりずっと大人で度胸があるのは確か。違う?」



 学食での一件を暗に示すと隆弘は言葉を詰まらせた。



「いきなりの告白に驚くのがふつーだ!というか振られたんだから諦めろよ」



「別に私のことを嫌いじゃないし、水谷君は。むしろ、良い印象を持ってくれている」



「それは友人としてだ。あいつが好きな女ってお前と全然タイプ違うぜ」



「え?」



 隆弘はニヤニヤと笑い、いずれわかるから教えてやる、と頬杖をついた。



「先崎千里っていう四学年の先輩にお熱だぜ?知らないか?宮原の女」



「宮原さんとは同じゼミだから先崎さんの名前だけは知ってる。それ?マジ?」



「マジ。ことあるごとに先崎さんと図書館で勉強したり一緒に飯食って帰ったり」



 宮原に目付られてるのにやめねぇんだよ、と隆弘は言う。


 隆弘がこういうことで嘘を言う人間ではない。


 私とタイプが違う人?



「同じ学部の先輩と話をしたいだけでしょ?」



 今は考えられない、と言ったのは恋愛に興味がないということではなく、先崎さんが好きだから?


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