花よ、気高く咲き誇れ




「まったく。いい迷惑だ。ごめんね、付き合わせちゃって」



「素敵なお母さまじゃない。会えて良かった!……で、誕生日どうするの?」



 さりげなくでも少し緊張をしながら尋ねる。



「………………」



 無言の水谷君に私は笑った。


 それがあなたの答えなら、それでいい。



「そうだよね。バレンタインだもん。それは当然私を優先してくれるよね!姪より彼女なんて当たり前か!」



 帰りたくないなら、いいよ。


 私を口実にして。


 何を抱えているか知らない。


 何に怯えているのかわからない。


 それはお兄さんのことと関係しているのかもわからない。


 何でも構わない。


 立ち向かえないなら、そのままでいいよ。


 そんなあなたでも私は好きだから。



「……蓮井さんはどうして俺のことが好きなんだろ?」



「え?」



 ぼんやりと他人事のように言う水谷君を見ると、彼は不思議そうにでも無表情で私を見ていた。



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