花よ、気高く咲き誇れ




 私は、その悔しさを紛らわすために、パンチを繰り出した。


 だが、あっさり避けられる。


 予期していなかったはずなのに、やはり憎たらしい男だ。



「やっぱり葵には蓮井さんが必要だ。葵、並木のベンチにいるから行ってやってよ」



 水谷兄はそれだけ言うと、爽やかに笑って去って行った。














 
 水谷兄の言う通りにするのは癪であったが並木道に向かう。


 でも、水谷兄の言う通りに水谷君を支えてやるつもりはない。


 だって私は、水谷君が好きな、私が好きな。


 咲き誇っている私でありたいから。


 水谷君はベンチに座り俯いて微動だにしない。


 私が近づいていることにも気が付いていないと思ったら。



「ごめん。何もかもごめん」



「……そうね。こんなにコケにされたの私の人生初よ」



「ごめん」


 私はキレた。


 マジキレする以外に選択肢なんてあるはずもない。

















「……っとに。本当に腹立つ!!何!?そのウジウジ!?見てる、こっちが胸糞悪ぃんだよっ!!」



「…………」



「義理の姉がずっと好きなんて、報われるわけないじゃん!!おまけに子供までいて、あまつさえ、妊娠。何、それでも好きとか変!!バカ!!」



「本当にそう思うよ」



「否定しないんだ?へぇーそう」



 引っ込んだ涙がまた滲む。


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