魔法をかけて、僕のシークレット・リリー



「はあ? 女ァ~~?」


自身の顎に手を添え、品定めするかのように上から下へと私を視線で舐め回す、目の前の男性。
彼は森田(もりた)さん――五宮家に仕える、敏腕執事だ。


「森田。そんなに人をじろじろと見るんじゃない」


竹倉さんがそう忠告すれば、森田さんは不服そうに眉根を寄せる。


「いや、女って……正気か? 竹倉、本当にお前が認めたのかよ」

「それ以上はセクハラにあたるぞ」


夕食の席は何とかお咎めなしで乗りきり、ほっと一安心。その後、使用人全員に収集がかかり、私と草下さんが簡単に自己紹介を終えたところだ。

自分が圧倒的に視線を集めている自覚はあったけれど、その中でも森田さんの視線は鋭かった。


「葵様はまだ幼い。奥様がご不在の今、専属執事に女性を添えるのはむしろ的確だと思うが」

「女性って……こいつもまだガキだろ」

「森田。口を慎め」


竹倉さんが執事長、使用人の中では一番責任のある立場というのは聞いた。森田さんは竹倉さんの補佐的立ち位置で、見たところ二人は対等に言い合える関係性のようだ。


「あ、あの!」

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