マザー症候群

7話 悪酔いの結末


 波斗は実家を訪れた。
 道瑠とはうまく関係を修復出来たが、母親美波との関係修復が未だだった。
 ピンポン。
 ピンポン。
 美波は出て来ない。
 ピンポン。
 これが最後と思い波斗がチャイムを押すと。
 「誰?」
 美波の蚊の鳴くような声がした。
 「俺」
 「間に合ってるわ」
 そう言って、美波がチャイムを切った。
 「まいったな」
 波斗がまたチャイムを押した。
 ピンポン。
 ピンポン。
 「うるさいね」
 美波の不愛想な声がした。
 「お袋。頼むから開けてくれよ」
 「仕方がないね。人が機嫌良く飲んでるというのに。全く」
 ガチャ。
 美波が渋々ドアを開けた。
 波斗が美波を見ると、左手に琥珀色の液体の入ったグラスを持っている。
 琥珀色の液体はウイスキーだろう。


< 206 / 291 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop