マザー症候群

 「勝手にするってどういうこと」
 波斗が執拗に食い下がる。
 「母親の私は、結婚式も、式を済ませた後も関与しないという事よ」
 「それはないよ。彼女のどこがそんなに気に入らないんだ」
 「全部よ。彼女以外の女性なら。そうね。井本ちゃんであろうと、他のすべての女性であろうとOKよ。でも、彼女だけは駄目」
 「なぜ、彼女だけは駄目なんだ。まいったよ」
 波斗は頭を抱え、それ以来黙り込むようになった。
 (どうする?)
 (あの反対の仕方なら再度説得を試みても無理だろう)
 (何か、いい手はないものか)
 (実行支配)
 突然、波斗の頭にある考えが閃いた。


 
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