マザー症候群

3話 母の敗北


 1週間後。
 波斗が母親の美波を捕まえて家を出て行く事を伝えた。
 「探していた家だけど、やっと見つかったんだ」
 「あっ、そう」
 美波、関心なさそうに。
 「阪急茨城駅からすぐ近くのマンションなんだけど」
 「・・・」
 「家賃も余り高くないし」
 「いつ出て行くつもり」
 美波がこわばった表情で。
 「来月の頭には出て行くつもりだけど」
 「あと1週間しかないじゃないの。急な話ね。そんなにこの家から早く出たいの」
 「そういう訳じゃないけど」
 「まあ、いいわ。好きにすれば」
 美波はお冠のようだ。
 出て行く日付を聞くと、美波、さっさと自分の部屋へ。


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