あなたの空に向かって I Love You
 ガタガタと開け閉めの音がする下駄箱で靴を履き替えて、両手に手袋をはめて、昇降口から外に出た。

 冬の西日がちょっと眩しい。

 ぼーっと空を見上げながら、あたしは一人で歩いて帰る。

 一人で歩いて帰るのにはもう慣れた。

 いつもの道を、とぼとぼとぼとぼゆっくり歩く。

 

 三時三十八分、青空公園に到着。だいたいいつもと同じ時間。

 お日様の柔らかい日差しが降り注ぐ中、砂場で遊んでいる小さな子供たちの姿が目に映る。

 背中にランドセルを背負ったまま、滑り台で遊んでいる小学生。

 楽しそうに井戸端会議をしているママさんたち。今日は、七人もいる。

 ベンチに座って、タバコを吹かしているおじいさん。

 だいたいいつもと同じ光景。

 今日も、ブランコには誰も乗っていない。

 あたしが生まれる前からある、古びたブランコ。

 支柱の塗装は剥げていて、鎖は錆び付いている。板の表面はボロボロ。四つとも同じ状態。

 乗る度に、ギコギコギコギコ音が鳴る。

 青空公園のブランコが、新しくなるという噂がある。

 できることなら、新しくしないでほしい。
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