言えよ、俺が欲しいって。

持つべきものは親友



「七瀬くんっ……!」



七瀬くんの背中が見えて、肩で息をしながら大声で七瀬くんを呼ぶ。

あたしの声が届かないくらい昼休みの廊下は賑やか。

さっき相川くんに手を引っ張られて歩いていた時は静かだったんだけど……。



あたしの声が届かないのか、そのまま行ってしまう七瀬くん。


今……行かれちゃ困る……。



深呼吸をして七瀬くんを目指して走り出す。



「七瀬くんっ……まっ…てっ…!」



バシッと後ろから七瀬くんの腕をつかむ。



それでも七瀬くんは無言のまま。


……む、無視?



「はい?」



七瀬くんが振り返ってくれ……



「……だ、誰ですか」



七瀬くんじゃないーーー!!??

七瀬くんだと思って走って追いかけてきたのに、七瀬くんじゃない!
そんなことってある!?

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